経費精算
公開 2021.01.04

交通費の経費精算の仕方とは? 間違えやすい交通費と旅費交通費の違いを解説!

事業活動を行ううえで、交通費の支出は欠かせないものです。ただし、同じ交通費支出でも、経費計上できるものとできないものがあります。また、使用する勘定科目も交通費や旅費交通費、広告宣伝費、福利厚生費など、それぞれの用途を理解して使い分けることも重要です。
今回は、よく間違えられる交通費と旅費交通費の違いをおさえつつ、交通費の経費精算方法についてまとめます。

交通費精算とは

交通費精算とは、従業員が会社に通勤する際の通勤費や、営業が外回りで移動する際に発生する交通費などの金額を経理担当者が確認し、支払い処理を行う業務です。

1か月や6か月ごとに従業員に支払われる通勤手当と、業務中の顧客訪問や出張などで発生する交通費を区別せずに「交通費」と呼ぶ会社もあります。

尚、ここでの交通費とは、勘定科目の名称ではなく、一般的な呼び方のことです。

交通費と旅費交通費の違い

交通費と旅費交通費という言葉はよく混同されますが明確に意味が異なります。

交通費とは、従業員が所属する勤務地で発生するものであり、具体的には勤務地の近場で移動する際の電車賃やバス代、タクシー代等を指します。

一方、旅費交通費は本来業務を行う勤務地以外の場所で働く際に発生する電車賃や宿泊代等を指す勘定科目上の名称です。

ちなみに勘定科目とは、会社の事業活動上で発生する資本や収益の増減を分かりやすくするための分類項目の総称です。
一般的に、現金の流れを理解しやすくするために使われます。

さまざまな旅費交通費

事業活動上で、旅費交通費として精算できるケースをまとめてみます。

  • 出張時に使用する電車代・タクシー代といった交通費
  • 出張時の宿泊費(旅費規程で条項が定められている場合、日当・食事代も含まれる)
  • 転勤による赴任時にかかる費用(荷造運送費や帯同家族の移動費など)
  • 海外出張費用(旅費、宿泊費、出張手当など)

ただし、海外支出分に関する消費税は、非課税扱いになると認識しておきましょう。

※国内における移動にかかる金額は、消費税法上の課税対象となりますので注意が必要です。

節税効果のある出張旅費規程とは?

出張時の費用は旅費交通費として精算もできますが、出張旅費規程という出張関連費用の取り扱いについて定めた社内規程を作成し運用することも可能です。

出張旅費規程において、交通費や宿泊費の補填は定額支給によって補填すると定めておけば、実費精算を行う必要がなくなります。そのため、領収書を確認して経費精算を行う手間がなくなるメリットがあります。

また、法人であれば出張旅費規程を設定したうえで日当を支払うことにより、法人税法上損金扱いにできるため、節税にも有効です。出張旅費規程を作成して節税するためには、その規定の対象者を全社員にする必要があります。また、作成した規程について、株主総会や取締役会などの承認を得る必要がある点にも注意しましょう。

交通費と通勤費の違い

交通費は、業務に関わる移動の際に発生した費用のことです。客先に訪問したときの電車賃や車移動の駐車場代、出張時の新幹線代や宿泊費などを指します。

一方、通勤費とは、従業員が会社に通勤する際にかかる費用のことで、必ずしも会社が全額負担する義務はありません。

通勤費を従業員に支払う場合、交通費と同じ会計処理を行うことは可能ですが、通勤費は一定額が非課税となる点に注意が必要です。

通勤費は一定の範囲内で非課税になる

従業員の通勤費を会社が負担して、通勤手当として支給する場合は、1か月15万円まで非課税として扱うことが可能です。
通勤手当が非課税となれば、従業員の所得が少なくなり、従業員の税負担が軽減できるメリットがあります。

尚、従業員に支払う通勤手当は会計上「旅費交通費」の勘定科目で精算するため、会社の消費税負担も軽減されます。

通勤手当は非課税だが社会保険料の計算対象になるので注意!

従業員が会社に通うための通勤費を、通勤手当として支給する場合、月15万円までは非課税とご説明しました。

しかし、この通勤手当は社会保険料(厚生年金保険料・健康保険料)の計算対象となるので注意しましょう。
社会保険料の計算対象になるということは、社会保険料の算出をする際に使用する「標準報酬月額」に通勤手当も含めて計算をするということです。

【事業所の給与規定に定めのある通勤手当は、労務の対償として受けるものであると認められ、標準報酬月額の対象となる報酬に含まれます。】

日本年金機構のQ&Aより引用 : 標準報酬月額の対象となる報酬に、通勤手当は含まれるのですか?

旅費交通費と交通費以外で精算する場合

移動に関わる費用のすべてが旅費交通費または交通費にて精算するわけではありません。
よく間違えられる、移動に関する勘定科目の使い方について確認していきましょう。

福利厚生費・研修費

慰安旅行として行われる社員旅行については、移動に関わる支出を「福利厚生費」として処理します。また、研修目的の社員旅行の場合は「研修費」としての処理が必要です。

上記のような旅行を福利厚生費、もしくは研修費として処理できる条件は、対象となる社員の50%以上が参加していることや旅行日数が4泊5日以内であること、さらに1人当たりの費用が少額(明確な金額基準はないが10万円以下が目安)であることなどです。

また、1日目は研修で2日目以降の日程は終日自由行動といった、研修と娯楽が混ざったような旅行もあるかと思います。この場合には、1日目にかかった費用のみ研修費として計上、それ以外の部分については福利厚生費で計上といった形で費用を日数で按分するのが望ましいです。

交際費・宣伝広告費

旅費交通費には、タクシー代などの業務上必要な移動のための交通費が含まれます。ただし、接待する側が取引先などの接待対象者を目的地まで案内する際のタクシー代は、交際費として処理をします。
また、接待する側の社員や役員が目的地へ向かう場合や、自宅に帰るときに利用するタクシー代も交際費となります。
そのほか、同業界内の親睦を深める目的でイベントに参加するといった場合の旅費や交通費も交際費に含められます。

尚、不特定多数の顧客や消費者などを招待するイベント開催時の会場への移動費用は広告宣伝費の勘定科目を使用しましょう。同じ移動に関わる費用であっても、さまざまな勘定科目での処理が求められるため、移動の目的などをしっかり把握したうえで処理を行うよう注意が必要です。

交通費を証明する領収書がない場合はどう処理する?

経費として移動費用を処理する場合、原則として領収書などの証明書類が必要です。ただし、領収書がない場合、ほかの方法で交通費の証明や記録を残すことで経費処理を行うことができます。

たとえば、出金伝票に記載することで記録を残すという方法です。一般的に、電車やバスでの移動に伴う交通費は領収書の提出ではなく、出金伝票への記載を依頼するケースが多いです。出金伝票には利用日、訪問先、乗車区間、運賃等の情報を記載する必要があります。交通費精算機能を備えた経費精算システムを利用することで、社員の記入の手間を最小限に抑えた上で管理することも可能です。

特定支出控除とは?会社員が交通費を確定申告するケース

通勤手当を受け取っている会社員の場合、その費用は会社の経費として処理するため、当然のことながら個人の所得税計算における必要経費として処理することはできません。ただし、場合によっては確定申告を行うことで節税できる可能性があります。

所得税における給与所得は、原則として給与収入から収入に応じて一律で決められている給与所得控除額を引いて算出します。

ただし、例外的にさらに所得を減額できる特定支出控除があります。
全額ではありませんが、特定支出控除を使用すれば一定の条件に当てはまる交通費を個人の所得から差し引くことが可能です。この特定支出控除が使えるのは「特定支出控除として認められる経費の合計が給与所得控除額の金額の半分を超えること」「会社が発行した特定支出に関する証明書を添付すること」の要件を満たした場合となります。

移動に関わる支出の経理処理は、処理すべき科目が多いうえに頻繁な処理となるため、処理漏れやミスも起きやすくなります。また、領収書の取得漏れや目的などの記録漏れなど、社員側の意識の低さが問題となって処理が進まないケースもあるでしょう。精算を求める社員側がルール通りに精算しない、数カ月前の領収書を後から提出されるなど経理担当者が悩むというケースも珍しくありません。
さらに、社員の定期区間の交通費を外回りの交通費から控除していないなど、社員・経理担当者双方がミスをする可能性があるややこしい支出もあり、経理担当者にとって交通費処理は悩みの種となりがちです。

交通費精算は知識と全社員の協力が不可欠!システム化も視野に

移動に関わる費用の経理処理は、事業活動を行ううえで頻繁に行う処理のため、経理担当者の負担が多くなりがちです。また、従業員の領収書添付ミスや記載事項の間違い、適切な勘定科目の選択など専門の知識が必要となります。

これらの交通費精算をミスなく進めるためには、経理担当者の知識だけでなく社員の協力が必要不可欠です。しかし、すべての社員が正確に処理ルールを理解することは難しい面もあります。

交通費の経費精算をスムーズに行うためには、経費精算システムなどのITツールを導入することをおすすめします。中でも、rakumoケイヒは社員のスケジュールから自動的に交通費を算出する機能もあり、非常に利便性が高いです。

経費精算システムについては、次の記事を参考にしてみてください。

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